言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2004/03 |
形態種別 | 大学・研究所等紀要 |
標題 | イェイツの詩における「憎しみ」について
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執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 『紀要 桜美林英語英米文学研究』 |
巻・号・頁 | (43・44),157-170頁 |
概要 | A5判
1934年にW.B.Yeatsが発表した一篇の詩に、「自分は憎悪の研究に精励刻苦する」("I study hatred with great diligence")という一行が出てくる。愛を求め、愛を研究するのは「神」の役目であり、その業は人知を超えているのに対し、憎悪は人間がコントロールできる情念だから、自分は憎悪を探求していこうと、語り手である隠者リブに語らせている。50歳を過ぎた頃からW.B.Yeatsが「憎しみ」というものを真剣に考えた様子が、詩、戯曲や書簡から窺える。詩‘Deamon and Beast’では「憎しみ」から解放された至福の時間を愛でる一方で、「憎しみ」から離れた人間が支払うべき代償として、征服欲、創作欲の低下が挙げられる。やがて、「憎しみ」という感情を客観的に眺められるようになったイェイツは「憎悪」を壮大なスケールの歴史の循環に組み込み、独自の哲学をうちたてていく。このように本稿では、後期の作品を読み解く上でも重要なキーワードの一つと思われる「憎しみ」について、イェイツがどのように感じ、作品に表現していったか、その変遷を辿った。 |
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