概要 | イギリスでの放送アーカイブの公開・提供に関する取り組みを調査した成果を報告する、2回シリーズの前編。BBC、BFI(英国映画協会)によるサービス、および教育現場に放送アーカイブを提供する仕組みを伝え、考察する。「デジタル・ファースト」を掲げるBBCでは、テレビ・ラジオともにアーカイブの放送(再放送)に特化したチャンネルを設け、その後iPlayerやBBC Soundsでオンデマンド配信する番組を増やしている。これと連動して、アーカイブの検索サイトProgramme Indexを経由して、約28万の番組が視聴できるようになっている(第1章)。BFIは、各放送局の放送番組を録画保存し、拠点施設内にある視聴ブース「Mediatheque」で館内公開をする。公開にあたっては独自の基準を設けるなどして、映像アーカイブの商業的な流通を阻害せず、歴史的な作品が埋没しないよう配慮をしている(第2章)。イギリスでは教育機関を対象に約320万もの放送アーカイブにアクセス可能な環境が整っている。集中管理団体・ERAが、教育機関に対して放送アーカイブ利活用の許諾を与え、利用料を徴収し権利者に分配するスキームが確立している(第3章)。 |